Nuke 15.0 について

Nuke 15.0 には、ネイティブAppleシリコンサポート、高速化したCopyCatトレーニング、タイムラインの改善、標準化の更新などが含まれています。

 

Nuke 15 新機能

アーティストの効率性と生産性

Appleシリコンのネイティブサポート

   

エミュレーションレイヤーは、もう必要ありません。Nuke 15.0でのAppleシリコンのネイティブサポートにより、一般的な処理速度が最大20%高速化されました。Nuke 15.0で利用可能なすべての最新ワークフローを活用しながら、Macの能力を最大限に生かすことができます。

高解像度対応の拡張

    

大規模なイベントやテーマパークの乗り物のようなインスタレーション、およびバーチャルプロダクションなど、非常に高い解像度を必要とする作業を行うユーザーのために、Nukeは、要件を備えたハードウェアで、最大64Kの解像度までの画像に対する多数の平面操作に対応するようになりました。つまり、Nuke 15.0 および 14.1 では、すべてのCaraVRノード、Spherical Transform、Lens Distortionがより高い解像度で使用できるようになったため、プロジェクトのスケーラビリティが向上します。

高速化したCopyCatのトレーニング

    

Nuke 15.0 および 14.1 の新しい分散トレーニングでは、標準のレンダーファームアプリケーションを使用して複数のマシン間でトレーニングの負荷を共有できます。これにより、トレーニングが高速化され、バックグラウンドでCopyCatを実行しながら、Nukeの使用を続けることができます。また、CopyCatでマルチレゾリューショントレーニングを使用すると、画像解像度を圧縮して、初期段階でファイルサイズを削減できるようになります。これにより、トレーニング速度が最大50%アップします。

新しいGeoMergeワークフロー(ベータ版の機能)

    

更新されたGeoMergeノードにより、ジオメトリとUSDレイヤーをマージするときのコントロールが強化されます。このリリースでは、GeoMergeノードに4つの新しいモードが含まれています。Merge Layers 、Duplicate Prims 、Flatten Layers 、Flatten to Single Layer の4つです。そのため、分岐したパイプをすばやくマージしたい場合でも、従来の複製ワークフローを再作成したい場合でも、レイヤーの管理方法をより詳細に制御したい場合でも、新しいモードとUIによって、より直観的なエクスペリエンスを提供します。

3Dビューアの選択(ベータ版の機能)

    

新しく改良されたビューア選択ツールは、専用の3Dツールバーと新しい二重構造の選択により、3Dシステム内ではるかに大きいステージで作業する際の優れた機能を提供します。新しいツールバーを使用すると、オブジェクト、フェース、または頂点モードをすばやく切り替えることができます。また、シーン内のプリムの型(Type)もしくは種類(Kind)に基づいて選択を指定できるコントロールが追加されました。これにより、1つのジオメトリで選択するレベルを、より詳細に制御できるようになります。また、二重構造の選択を使用すると、ジオメトリ内にその選択を収めることができるため、ステージ内の1つのアイテムに集中して操作しやすくなり、複雑なシーンで選択を行う際に、より詳細に制御できるようになります。

MaskノブでのSceneGraphのポップアップ(ベータ版の機能)

    

Nuke 14.0で導入されたUSDベースの3Dシステムでは、より大規模で複雑なシーンをNukeに取り込むことができます。ただし、シーンが大きくなると、検索するデータとアセットの量が多くなります。新しいSceneGraphのポップアップにより、3Dデータを簡単にフィルタリングできるようになります。Maskノブを使用して、シーンの階層のコンテキストでカメラやプリムをチェックし、フィルタリングをかけて選択できます。これにより、必要なアセットを検索する時間が短縮されますので、最終的な画像の編集に集中する時間を増やすことができます。メインの3Dシーングラフでの検索とフィルター機能も追加され、大規模なシーン内を簡単に移動できるようになりました。

ScanlineRender2の更新(ベータ版の機能)

    

Nuke 14.0で導入したものを基にして、ScanlineRender2をさらに開発し、使い慣れたユーティリティレンダリングエクスペリエンスを新しい3Dシステムに提供します。一方で、さらなる効果が生み出され、きわめて重要なことに、Nukeでの3Dレンダリングの将来の基礎を確立しました。使い慣れたすべてのユーティリティパスのレンダリングをサポートするように設計されたさまざまな改善の中で、UIはより直観的になり、新しいレイトレーシングサブシステムでは、レイトレースオクルージョンによるシャドウの改善が可能になりました。

タイムライン ツールから VFX ハブへ

タイムラインレビューの改善

    

レビューは効果的なVFXパイプラインの基礎の1つであり、Nuke 15.0および14.1には、Nuke Studioのレビューセッションをより高速化し、高い応答性が得られるように設計された改善が含まれています。再生ヘッドの下のショットが自動的に選択されますので、個々のショットを選択する必要がなく、複数のアクションをショットにすばやく適用できます。さらに、Nuke Studioの新しい複数の再生ヘッドを使用すると、タイムライン上のさまざまなフレームを迅速かつ簡単に比較できます。上記の内容とその他のタイムラインの改善により、以前よりもはるかにすばやくショットを比較し、タイムラインにエフェクトを追加できるようになったため、レビューセッションの効率がさらに向上しました。

タイムライン内でのBlink Effectsの複数ピクセル化

   

Nuke StudioおよびHieroでは、タイムラインレベルでLensDistortionやDenoiseのようなBlink Effectsを適用できるようになりましたので、タイムラインとコンプの環境間を行き来する必要がなくなりました。新しく改善されたBlinkScriptにより、一度に複数のピクセルを計算できるようになったため、独自のエフェクトを作成して、タイムライン上で強力かつ複雑な操作を実行できます。

タイムラインでのMachine Learning Inference(機械学習推論)

   

ビューティワークでもマット操作でも、コンポジターがその可能性を最大限に引き出すことに努力を重ねるにつれ、CopyCatの使用例は増加しています。タイムライン内でのMachine Learning Inference(機械学習推論)を使用すると、これらの効果をコンフォームおよびレビュー中に「審査」し、一度に複数のショットに適用できます。Nuke 15.0および14.1では、Inferenceのソフトエフェクトを使用して、事前にトレーニングした.catファイルをショットやシーケンスに直接適用できます。これにより、タイムラインとコンプ環境を切り替えることなく、編集への集中力を保ちながら、コンテキスト内で複数のショットにわたるトレーニングの結果をすばやく確認できるようになります。

タイムラインディスクキャッシュの自動化

    

タイムライン上の編集やソフトエフェクトに変更が加えられるたびにディスクキャッシュを手動で再作成することは、迅速かつ効率的なレビューを求めるユーザーにとっては煩雑な作業でした。新しく改良されたタイムラインツールを使用すると、Nuke StudioおよびHieroでは、更新が必要なフレームを自動的に再キャッシュできます。そのため、タイムラインのエフェクトの複雑さや適用したエフェクトの数にかかわらず、Nukeがバックグラウンドでディスクキャッシュを自動的に更新している間、レビューを続けることができます。

将来性のあるパイプライン

VFXリファレンスプラットフォーム2023

     

Nuke 15.0はVFX Reference Platform 2023を完全にサポートしているため、パイプラインをスムーズに実行できます。これにより、Nuke 15.0の互換性が完全に確保され、他の更新されたソフトウェアパッケージとシームレスに統合されます。最新リリースの一部として、CentOS 7をRocky 9に置き換え、移行する時間を確保するために早期にリリースします。今回初めてとなる二本立てのリリースでは、Nuke 14.1にアップグレードして、VFX RP 2022およびCentOS 7で実行している現在のプロジェクトを仕上げることができます。スタジオがRocky 9または同等のバージョンに移行する準備ができた段階で、Nuke 15.0をご使用ください。Nuke 15.0では、VFX Reference Platform 2023を完全にサポートしているため、パイプラインの移行が容易になります。

SDKファイルフォーマットの更新

    

最新のSDKおよびカメラのサポートにより、業界標準を常に最新に保つことができます。Nuke 15.0 および 14.1 では、HDE形式でファイルを読み取る機能を備えた新しいARRI Alexa 35カメラの対応を引き続き改善し、HDE SDKもバージョン 4.0.3に更新しました。Nuke 15.0は、現在、新しいARRI IMAGE 8.0.0 SDKを使用しています。これにより、レガシーを含むすべてのARRIファイルのバージョン6.2.3が置き換えられます。ショーがどのようなものでも、対応しているカメラ、モニター出力カード、ファイル形式に対する幅広いアップデートを提供します。

OpenColorIOの更新

      

Nuke 15.0 および 14.1 では、OpenColorIO (OCIO)を更新することで、VFXまたはアニメーションのパイプライン全体で色の一貫性を維持できるようになりました。OCIOバージョン2.2に合わせて、Nuke Studioの「Write」ノードとExportダイアログを更新して、明確にラベル付けされたOutput Transformサブセクションを追加することで、ディスプレイトランスフォームのベイクが簡略化され、わかりやすくなりました。新しいOCIOのAliases属性により、カラースペースの代替名のセットを設定で定義できます。Nuke 15.0にはOCIOバージョン2.2が含まれていますので、プロジェクトで直接使用するOCIOZ configのサポートが追加されています。

OpenAssetIO(テクニカルプレビュー版)

    

Nuke 15.0 および 14.1 では、OpenAssetIOのテクニカルプレビュー版を導入します。これは、ツールとコンテンツ管理システムのためのオープンソースの相互運用基準です。ソフトウェアスタック全体にOpenAssetIOを実装すると、パイプラインの統合が簡素化され、ワークフローが合理化されます。この新しい基準により、アーティストはより洗練されたアセットやバージョン管理ワークフローを使用して、必要なアセットを簡単に見つけて特定できるようになります。

Nuke 14 機能