Houdini Procedural Artist セミナー
EA (SEED) プロシージャルアーティスト
Anastasia Opara の講演

2018年8月26日(日) ※終了しました

詳細は以下

2018年8月26日(日)に、EA SEED部門所属のプロシージャル アーティスト Anastasia Opara 様をお招きしてセミナーを開催致します。さらに当日はアルゴリズミック・デザイナー の堀川 淳一郎 様にもご登壇頂きます。

開催日時

※終了しました

開催会場

ワテラスコモンホール (東京 淡路町)
〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2丁目101番地

アクセス・地図
http://www.waterrascommon.com/access.html

アジェンダ

多分野にまたがるプロシージャリズム:ディープラーニングとのコラボレーションの探求
講師:Anastasia Opara 様 [講師プロフィール]

私のセミナーは、2部で構成されています。
第1部は、オブジェクトの構造を分析し、それを各工程に分割して、Houdiniのアルゴリズムに変換してからプロシージャルシステムを作成する方法を探ります。私たち人間は、オブジェクトの重要な要素(コアアイデア)に凝縮することによって、オブジェクトをどのように捉えることができるのか調べます。

セミナーの第2部では、人の考え方がディープラーニングの世界にどのように変換できるかを調べます。それからディープ・ラーニングがどのようなものなのか、そしてプロシージャリズムとディープラーニングの相互がどのように貢献できるかについて簡単に説明します。

セミナー内では、ディープラーニングを使用して時間のかかるHoudiniシステムを圧縮しリアルタイムで実行する事例や、ディープラーニングのアルゴリズムをトレーニングするデータを、Houdiniを用いてプロシージャルに作成する例など、SEED(EAのRnD部門)で研究した幾つかの実験結果を紹介します。

第1部:プロシージャルデザインへのアプローチ

  • (作例 )ミラーシーン: プロシージャルで作成しようとするオブジェクトをどのように分析して、その各工程の要素に分類することを説明します。
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    ミラーシーンのカーブ生成アセットを分析した場合の考え方

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    リファレンスを分析して、Houdini内部で行うことのできる各工程に振り分けます。

第2部:Houdiniを使用したディープラーニング

  • Houdiniのプロシージャルネットワークの手法を、どのようにニューラルネットワークを使用したディープラーニングの機械学習法に変換するかという説明と、AIを用いた潜在空間について紹介します。
  • ニューラルネットワークをHoudiniネットワークの圧縮メカニズムとして使用する方法を紹介します。


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    この画像は、ニューラルネットワークによる侵食のテストです。入力はブラシのストロークで、出力はそのストロークから侵食とともに作成された山のハイトマップとなります。 本来、Houdiniで1つのフレームを処理するのに30秒ほどかかりますが、ニューラルネットワークではリアルタイムに行うことができます。 これは既に学習させたモデルですが、インプット、グランドトゥルース(ターゲット)、そして出力された近似関数を表示しています。

  • Houdiniを使用した、ニューラルネットワークを学習させる人工的なデータの作成方法についてご紹介します。

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    Houdiniを使用して、学習サンプルで使用した1つから別の地形上に群落をどのあたりに配置するかを出力するディープラーニングネットワークのプロシージャルデータを作成します。

補足説明:潜在空間について

潜在空間は、インプットの特徴を学習した結果を圧縮した形式のベクトルです。例えば、家の画像を与えると、潜在空間は、高さまたは幅や窓の数などに対応する数値かもしれません(理想的なシナリオの場合。通常は潜在空間はあまり明瞭なものではありません)。

補足説明:圧縮について

基本的に、ニューラルネットワークは調整する事のできる多くのパラーメータを持つだけの関数です( f(x) で x がN次元の物として考える事が出来ます。例えば2万次元など)。 S 秒かかるアルゴリズムのインプットとアウトプットから学習させることにより、ニューラルネットワークによって検出される関数を用いてデータマッピングの空間を近似することができます。例えば x の二乗を例とし、私たちがこの関数について全く分からないものと仮定します。私たちが分かることは 2 を入れると 4 が返され、3 を入れれば 9 という結果が返されるという事だけです。これらのポイント全てをプロットし、インプットが X、アウトプットが Y のグラフを書くとすると、基本的にy = x^2 の関数の点が得られます。これはニューラルネットワークがしている事と似ていますが、もっとまばらなサンプルデータで行っています(空間をどれだけうまくマップするかにもよりますが、綿密に行うことも可能です)。

Houdiniで人工生命的アプローチによる造形手法の考察
講師:堀川 淳一郎 様 [講師プロフィール]

Houdiniを媒体に人工生命の研究で使われているアルゴリズムを用いて3次元デザインを行います。

Flocking (群知能)や拡散反応系(Gray-Scott model)、遺伝的アルゴリズムなどを利用して三次元造形に活用します。

  • Houdini内で、人工生命で用いられる各種アルゴリズムを実装して、それを造形に活かす方法を考えます。
  • アルゴリズムの種類としてセルオートマトン、拡散反応系、ボイド(群衆)、遺伝的アルゴリズムなどをHoudiniで実装してみて、その実装方法とそれから得られるアウトプットの例を紹介します。
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黒い犬の画像は、右の画像から遺伝的アルゴリズムを利用して左の画像に模写を行なっている様子となります。

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この画像は、Grey-Scottという核酸反応系のアルゴリズムを利用して作った模様となります。

Houdiniで実装したSwarm Intelligence(群知能)のサンプル動画です。

講師紹介

Anastasia

Opara 様

について

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Anastasia Opara 様は現在EAの SEED (Search for Extraordinary Experiences Division) という部門に所属しています。Siggraph 2017 、 GDC 2018 、Everything Procedural 2018でご講演をされています。

幼い頃からアートに興味を持ち、16歳になる頃には写真、ビデオアート、サウンドデザイン、ドローイングや詩などを用いて20回もの展覧会に参加しました。 周期性と普段の生活の中で織りなされる何層ものパターンに非常に興味を持ち、プログラミングとプロシージャルアートを用いてこれらを表現しています。プロシージャルのシステムを作る時に、アートがどの様に作られているかという思考プロセスの分析に影響を受け、オランダのNHTV ブレダ応用科学大学の International Game Architecture and Design でKim Goossensの元で勉強した時にプロシージャルアートに出会い、その世界に魅了されました。 コンピューターとアートという相反する関係は非常に興味深く、私達が考えるアートというものをどうやってコンピューターが理解できる形にするのかというのはこれからのチャレンジであり、すなわち自分がどうアートを解釈するかという知覚に向き合っていくという事です。

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堀川 淳一郎 様

Orange Jellies 主催/東京藝術大学非常勤講師
建築系プログラマー/アルゴリズミック・デザイナー

米コロンビア大学でAADを修了。建築設計事務所を経て現在フリーランスとして活動中。コーディングによる建築やプロダクトの造形を中心に、AR/VR系のアプリ・ゲームや建築系のソフトウェア開発に従事。 著書に石津優子氏と共著の「Parametric Design with Grasshopper」あり。 書籍 Nature Design with Houdini の著者。(書籍販売ページ)

https://jhorikawa.com

Anastasiaの制作事例

Anastasiaの作品を日本語で紹介しています。
(画像をクリックすると表示されます)

当セミナーに関するお問い合わせ

ご不明な点がございましたらこちらまでお問い合わせください。

CEDECでの講演について

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IndyZone-SideFXセミナー:
アートディレクションとプロシージャル法の実用的共生
(Functional Symbiosis of Art Direction and Proceduralism)
講師:Anastasia Opara 様 (株)インディゾーン SideFX

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こちらはアナスタシア様がまとめたセッションの紹介ビデオです。

日時: 8月24日(金) 11:20 〜 12:20 ※終了しました
会場: R313+314
難易度: 激辛 (知的刺激を求める人へ)

このセッションは、Electronic Arts 社の研究開発部門 SEED での Pica Pica プロジェクトにおけるプロシージャルレイアウト生成と配置へのアプローチについて紹介します。このプロジェクトでは、レベルを人間向けに作るのではなく、自己学習を行うAIエージェント向けに生成するという特異な挑戦に挑みました。よって、このレベルシステムには、エージェントの要求に対処できる柔軟性、操作性、ゲームプレイの要素、そしてアートディレクションにも合致することが求められました。 Houdini は、アートディレクトションを決定する最初期段階から内製エンジンである Halycon への出力を行う最終リリースまで、すべての段階で使われました。 この講演を通じて、アーティスト3人だけのチームがアートディレクションとプロシージャル法が共生し実動するシステムを2ヶ月で作成し、その「プロシージャルの旅」における様々な問題と解決についての知見を得ることができます。